こ
と
み
となりました。
とっても厳しいです。
厳しすぎてこんなもの書いてしまいました。
とりあえず、ちょっと会話の連打が多めです。
ストーリー進行には全く関係ない話なんで、編集は別にいいです。
これはある日の昼時の会話。
何の気なしに木本が放った言葉から生まれた、なんとも形容しがたい話だ。
「っかー、やっぱ如月と付き合いてぇ」
「また言ってるよ」
「あ?お前らは付き合いたくねえのかよ」
「そりゃ出来たら、そうなりたいとは思うけどさ・・・・」
「だろ?」
「別に如月さんじゃなくても木本だったら彼女作れそうじゃん」
「いやそう言ったってな・・・・」
「彼女、他にいないの?」
「いたにはいたが・・・・やっぱ俺は如月がいい!」
「はぁ・・・・やっぱりか」
「何がだよ」
「いやー、どうせ彼女いたことないのは僕かカズタカくらいのものなんだろうなぁってさ」
「いや、僕彼女いるよ」
その言葉から悪夢は始まる。
「・・・・は?」
いやまて。
そんな馬鹿なことがあるか。
カズタカ、だぞ。
こいつがそんな。
え?
仲間だと思ってたのに。
僕が今彼女いない状況で、周りにはカップルがわらわらしていて、そんな状態で何とか耐えれたのはお前がいたからだぞ。
ああ、カズタカもそうだ。
そうに違いないと、そうやってお前と仲間意識を持っていたからこそ!
彼女がいないのは僕だけじゃないんだ、と思っていたからこそ!
今日まで耐えてこれたんだ。
それがなんだ。
すでにお前は彼女持ちだと?
馬鹿な・・・・。
何がどうなって彼女を作れたんだよ!
いや・・・・まて。
まてまてまて。
これは罠じゃなかろうか。
僕を惨めな気持ちにさせようとたくらんだカズタカのいやがらせなのではなかろうか。
「は、ははは。もう分かってしまったぞ」
何。
何を焦っている。
あのカズタカだぞ?
そんなことあるわけないだろうに。
無様にうろたえてしまった。
そううまくはいかんぞカズタカ!
「どうしたの突然」
「嘘、なんだろ?」
「えっ?」
「『彼女がいる』なんて嘘、なんだろ?」
「いや、本当だって」
クソがああああああああああああああああああ。
おかしいおかしいおかしいおかしい。
これがヤツのでっちあげじゃないだと。
作り話じゃないだと。
じゃあなんだってんだ!?
実話かよぉ・・・・。
くそぅくそぅ!
「ホントに大丈夫、高っちょ?」
「大丈夫じゃない。お前のせいで全然大丈夫じゃない」
何がどうやってまず出会えたんだよ。
そんなお前を彼氏にしてくれる心優しい女神中の女神みたいなお方に。
・・・・ああ・・・・そうか、そうに違いない。
こいつが言ってんのはフィギュアかなんかだ。
『俺の嫁ぐふふ』とかそんな類だ。
なーんだなんだ。
落ちるとこまで落ちたなぁカズタカよ。
「さっきから表情変わり過ぎ・・・・まじ怖いよ」
「で、おいくらだったの?」
「えっ?」
「いやだから、『彼女』、おいくらだったの?」
「何それ」
「買ったんでしょ?」
「彼女は買うもんじゃないだろ・・・・」
「いやいやいや、もう維持張るなって」
「だから何がよ・・・・」
「フィギュア、なんでしょ?」
「いや生身だよ・・・・」
「だあああああああああああああああああああ!」
まじもんかよ。
まじなのかよ。
もうどうしたらいいの僕。
唯一の心の友に裏切られた僕は何を信じたらいいの。
自分の足もポキって折れたよ今。
ま、だだ。
まだ僕はカズタカを信じている(?)ぞ。
お前は彼女なんか作らない、もとい作れない。
そのはずだ。
お前が嘘を貫き通すというのならば相手をしよう。
こうなったら何が何でもその嘘を暴いてやる。
「で、でで、さぁ、どう、だったの?」
「もう何なの突然叫んだと思えば今度は・・・・」
「だからさ、初体験?その彼女となんだろ?」
「付き合ってどれくらいだと思ってるの・・・・」
どれくらいも何もお前が彼女持ちだと思ってねえんだよ。
いいからどうだったのか言ってみろよウソツキが。
「まだしてないよ。そんながっついたらダメだろ」
何この余裕。
もしかして非童貞ですか?
「もしかして非童貞ですか?」
「何言ってんの。僕を見ろよ」
お前を見てるよ!
だからこんな質問してんだろうが!
「ちょっと、さ、彼女といつも何やってんのか教えてくれない?」
「なんか怖いよ今日の高っちょ・・・・」
僕はお前が恐ろしいよ。
「何やってるって別に普通の会話だけど・・・・」
その普通の会話ってのが未知の世界なんだって言ってんのがわからねえのか。
「学校であったこととか、テレビの面白かった話とか」
「・・・・その子、他校?」
「んー、いんや」
校内かよ・・・・。
いつものお前の素行を見て『素敵!』って誰が思ったんだよ・・・・。
お前いっつも何か食べることしかしてないだろうが。
いやー女の子食べちゃいました、じゃねえよ。
「高っちょどうしたのこれ・・・・」
「さぁ、な・・・・」
「こんな教室の真ん中で叫ぶって相当だよ」
「まじやばいんじゃねえの・・・・薬か?」
「これは友達としてどういう反応をしたらいいんだろう」
「このぶよぶよの手で・・・・」
「な、にやめて・・・・ほんとやめて手つきが尋常じゃないって!」
「・・・・え」
「えっ?」
「い・・・・え」
「な、にを?」
「彼女が誰なのか言えこのやろおおおおおお!」
こうなったら馬鹿にしてやる。
その彼女を批判して侮蔑して罵倒して、徹底的にこき下ろしてやる!
「そんなに興奮しなくても・・・・あ、ちょうどいいところに。ほら、僕の彼女」
そう言ってカズタカが指差した先にいたのは、友達と笑いながら教室に入ってくる
「『りっちゃん』だよ」
如月 りつがいた。
ぶちり、と音がした。
・・・・
・・・
・・
・
「・・・・」
「・・・・」
「えっ?」
教室にかけられた時計の音が、やたらと大きく感じられる。
コチ、コチ、コチ、と数秒時を刻んだ後に、クラス中の生徒(中には女子生徒も)が音もなく立ちあがった。
「えっ?何?えっ?高っちょの夢の話でしょ?」
「僕はその晩、枕を涙で濡らしに濡らしたよ」
「えっ?待ってよ、ちょっと、えっ?」
ずらっと立ちあがった生徒は、みな一様にジロリとカズタカを睨んでおり、その目に慈愛の二文字はこれっぽっちも存在していなかった。
無言である。
一人がすっと手を挙げた。
釣られて横の生徒も拳を構える。
別の生徒は、どこから取り出したのか分からない大剣をふりかぶった。
また他の生徒はブツブツブツブツと意味のわからない言葉を呟き始めた。
「やめて、やめて、ほんとに、お願いだから!」
ガタン、とカズタカがイスから滑り落ちた。
その音が合図と言わんばかりに、教室に音が一斉に轟いた。
「<エンシェント・アァーツ>!!!!」
「<グランの咆哮>!!!」
「<アーキテクト・オブ・ライアンッ>!!」
「<グランディリイァ・セプトォォオオ>!!!!」
「<アイアンッ・フィストォ>!!!」
クラス全域から撃ち放たれた暴力の雨は、お前ら授業中そんな集中力発揮したことないだろ、レベルの精度を持ってカズタカに降り注いだ。
「ぎぃいいやあああああああ」
誰一人としてカズタカを守るものはいない。
ゴロゴロと床を転がる様にして逃げ惑うカズタカを傍目に、僕は静かに<サモン>と唱えた。
「たす、や、止めてぇ!!」
と泣きながら僕の足元に転がり込んできたカズタカを見て、僕はにっこりと笑う。
笑って右の手をカズタカへと差し伸べてこう言った。
「<ジャッジメント>」
審判
てすてす