こ
と
み
テスト前日です。
何も出来てないです。
おまけにペッカ回るレベルです。
リッチでました。
楽しさ半分、つらさ半分、おまけに苦しさと、やるせなさ半分。
1.5って感じです。
はい、もうブログペットにも終わっとけと言われたので、さっさと終わらせるべく続きです。
いつも通り編集お願いします。
思えばもうすでに夏休み前。
受験生にとってこの夏はとっても大きな一カ月となります。
頑張って乗り越えたいと思います。
話し終わった後、桂木は一瞬間をおいてこう言った。
「俺にはよ、ココを守る資格なんてねぇんだよ」
そう言う声はひどくさみしそうだった。
「無理なんだよ」
相変わらず地面に横になっている姿は、全てを放棄ているように思えた。
「あいつを殺した俺が、どの面下げてココを守れっていうんだよ!」
右手を額にあて、顔を歪めながらそう呻いた。
「そんな言葉は許さない!」
気付くと立ちあがってそう叫んでいた。
「榊さんがどんな思いであなたと一緒にいたのか、どんな気持ちであなたと過ごしたのか!」
僕には彼に告げる義務がある。
それがあのファイルを見た者の使命だ。
「ふざけるなよ・・・・いいかげんにしろよ!」
桂木が怒鳴る。
「貴様に俺の何がわかる!貴様に恋の何が分かる!」
「分かるさ!僕は「君と彼女のファイル」を見た!」
「だからそれが傲慢だったと─」
「榊 恋は君を守って死んだんだ!」
「─な、にを・・・・言って」
彼女のファイル。
それは彼女の最後すらも語っていた。
「僕は君に伝える義務がある」
その場所にいた人のこと。
その時にあったであろう硝煙のこと。
桂木と彼女、そして周りの人物の配置。
そして『サイキック』特有の念波による周囲への影響。
「君には知る権利がある」
ファイルは人の気持ちは語らない。
語ることはできない。
そこにあるのはあくまで事実だ。
だからこれは僕の全想像力を思いっきり加算した物語だ。
これが全部事実ではないかもしれない。
だけど。
これが、これこそが。
「一年前の彼女の言葉だ!」
***
榊 恋。
僕は君と同じようにその名前は知らなかった。
だけど木本は知っていた。
「『サイアク』も『サイアク』。あいつが視界に入っただけでまともな生活送ってるやつじゃねえよ」
彼女の通り名はそのまま『サイアク』だ。
物心ついたときにはすでに親元を3回変わっていた。
そのどれもが彼女によって殺されて、だ。
彼女の能力は”化悴の滅離”通称『サイキック』。
空気に乗せられた彼女の念はあらゆる防壁をもろともせずに対象をぶち壊す。
幼少の無邪気さゆえ、周囲の大人は彼女を腫れものとして扱った。
勿論周りに友達と呼べる存在などなく、そうこうしているうちにまた家族が壊される。
彼女は孤独であった。
「誰とも関わってはいけない存在」
「他者からの拒絶、否定、排除」
そう、彼女の能力は君よりももっとタチが悪かった。
行きつくのは君と同じあの学校。
そこでも何も変わらない。
彼女をとりまくのは明らかな嫌悪が抱かれた視線。
すでにその時には彼女は能力を制御できる年齢に達していた。
が、周りにとってそんなことは関係なかった。
誰もかれも爆弾を抱えてる人間など近づきたくない。
そんななか、彼女と同じような境遇であの学校に編入生がやってくる。
彼女の時と同じように、教師が嫌そうに彼の身の内を大まかに説明する。
そう、君だ。
実際に彼女が目の当たりにした君は、世の中全てに絶望していた。
確実に強くて醜悪だったのは彼女の能力の方だった。
それなのに、君は彼女よりも世の中、世間、周囲を悔恨していた。
「どうして君はそんなに不機嫌なのか?」
そんな理由で彼女は君に話しかけることにしたんだろう。
初めは。
何故そんな状況であるのに、君が絶望するよりもっと絶望的な状況であるのに、彼女は平気で明るくいられたのか。
それは『知らなかった』んだよ。
彼女の心に確実に湧きあがっていたはずのモヤモヤをどう表現し、どう言うのか。
さっき言ったように、彼女は君よりも拒絶、隔離されてきた。
だから、彼女は自分の身に降りかかる不幸を、不幸と呼ぶことは知らなかった。
教えられてこなかったんだ。
君は彼女との接点を持った。
彼女は初めての友人ができたことをうれしく思い、君は彼女をうっとおしく思いながらも接し続けた。
君が彼女の初めての友人だ。
君は、その学校で彼女が他の人と一緒にいるところを目にしたかい?
「俺と一緒にいるから」などと思っていたならば、それは違う。
分かるだろう。
そしてあの日。
君らが恋人同士になり、そしてしばらくした日だ。
君が彼女を殺した日だ。
今君が疑問に思っているのは「彼女がそんな能力者であったのに何故死んだのか」だ。
本当に榊 恋が『サイアク』と呼ばれる『サイキック』の持ち主であるのならば、あんなところであんな姿でいるわけがない。
ましてや、君の銃弾で死んでしまうこともないだろう、とね。
でもね。
彼女の”化悴の滅離”は圧倒的なパワーを誇っていたとしても万能ではないんだよ。
その能力ができることは、他人の防壁を一切合財無視して対象を滅ぼすこと。
相手に干渉し、その念を持ってして内側から、何から何まで壊し、破滅させることだ。
さっき言ったよね?
彼女はその学校に入った時にはほぼ、自分の能力を制御しきっていた、と。
自分にできること、できないこと、それらを彼女はほぼ分かりきっていたんじゃないかな。
「何が言いたい」、ね。
そうだね。
それは、彼女はその念を持ってして対象を弄ることができた、ってことだ。
つまり『君の能力の暴走を、君の意識下におけるように書きかえること』すらも可能だったってことだ。
彼女は何も教えられてない。
人が胸に抱く殺意、悪意、敵意、罪悪。
または幸福、善意、友好、至福。
それらの名称も意味も知らず、ただ漠然と胸に抱える不快感のみを持って生きてきたんだ。
君に出会うまでずっとね。
君との生活の中で、今まで自分が犯してきた罪を悔み、そして君の苦悩を知ったんだ。
それらの言葉など知らないけれど、胸を突き刺す痛みとしてね。
以上は僕の想像だ。
榊 恋のファイルと君のファイルを照らし合わせる中で出来た空想話だ。
実際に彼女がどんな気持ちでいたのか、それを僕が決めつけることはできない。
君の方が彼女を知っている。
ここまでは虚言と受け取ってもらっても構わない。
だけど。
ここからの話はまぎれもない事実だと断定する。
榊 恋が、彼女を取り囲む暗闇の中で、ただ一つ願った君への思いだ。
そして、君に残した唯一の希望だ。
あの日、君が暴走して銃弾を放つのを見た彼女は、自分の持てる能力を持ってして、君を止めようとした。
銃撃の中、一瞬で君へと念を届け、君の神経下に入り込んで意識と能力とのコネクションを直そうとした。
君の能力の暴走をこれ以上起こさせないように、とね。
彼女は君に、これ以上自分が歩んできた道を進ませたくはなかったんだ。
そこに悪いとか良いとかなんて言葉はなかった。
ただ純粋に彼女は君を思い、君の不自由を悲しみ、君の幸福を願ったんだ。
彼女は持てる力を使って君の暴走を止めようとした。
全能力を持ってだ。
故に、彼女は自分の能力で君の放った弾丸を止めることはできなかった。
そんな余力はなかった。
あったのは。
彼女の身一つだけだった。
君がその男たちを殺すことで、また不幸の道を歩んでしまう。
彼女は君の神経を書きかえるのと全く違わない思いで君の弾丸を止めたんだ。
自分の身でその弾丸を受け止めることで、君が関係のない人を殺してしまわぬように。
不幸を背負わないように。
***
「う、そだ・・・・嘘だ・・・・嘘だ!」
「違う、これは真実だ」
「だって・・・・あいつは『ショックウェーブ』だ・・・・」
「君が彼女に自分の過去を知られるのを恐れたように、彼女も自分の過ちを君に知られたくなかったんだ」
「なんで・・・・なんでそんな馬鹿なことを・・・・」
「それは」
***
彼女が君のことが好きだったからだ。
自分の身を省みないくらいに君の身が愛おしく思えたからだ。
自分が他人にどんな風に映るのか、映っているのか、彼女は考えたこともなかっただろう。
でも君にだけは見てもらいたかったんだ。
君の目だけには『普通の女の子』として映りたかったんだ。
君は言ったね。
硝煙が晴れるとそこに彼女が立っていた、と。
大の大人を吹き飛ばすことが可能な君の弾丸をまともに受けた彼女はどうしていたと?
ばったりと倒れていたんじゃない。
『彼女は君の銃弾を全て生身で受けて、立っていた』んだ。
君の『トリガーハッピー』で打ち出す弾は君自身だ。
そう彼女に話したことがあるね?
その君自身を彼女は揺れることなく受け止めたんだ。
これを彼女の愛情と呼ばずして何と言う。
断言しよう。
榊 恋は、君を愛していた。
その愛を再確認するといい。
君は僕らがこの学校へ来て、今さっき初めて能力を使った。
そうだね?
わかるかい。
君は自分の意思で僕と戦ったんだ。
能力の暴走なんかじゃない。
初めて僕らが会った日、君はカズタカの言葉に気分を害してこう言ったね。
「さっさと失せろ。ぶっ殺すぞ」とね。
どうだい。
彼女と別れた日から今まで、君が無意識に人を傷つけたことがあったかい?
もうすでに、君は自分の意思なくして銃弾を放つことはできないんだよ。
それが、それこそが。
彼女の『君に残した唯一の愛』だ。
***
「ああ、あああ、ああああああああああああああああああ!」
『トリガーハッピー』は咆哮する。
この身に宿った能力と、彼女が残した能力を。
彼女が願った自分の未来と、これから歩む自分の未来を。
そして、彼女が自分に注いだ愛情と、自分が彼女に捧げた愛情を確かめるように。
彼は叫び続けた。
てすてす